キリストとフクロウ/ホロウ・シカエルボク
コインゲーム以外で初めて役に立った。一息つくととんでもなく腹が減っていることに気づいた。森に入り、木の実らしきものや草、それから食べられそうな茸を適当に引き抜いて食べた。水はいまのところ、時々降ってくる雨で足りていた。それから一度眠った。それが実質俺の最後の食事であり、眠りだった。夜中にフクロウの声で跳ね起きた。美しい月が出ていた。これまで見たこともないようなでかい月だった。高価な絵本の中でしか見たことがないような月だ。クレーターまではっきりと確認することが出来た。俺は頭がおかしくなっているのだろうか、と思った。もう昼も夜も判らないようになって、幻覚を見ているのだろうかと。でもそんなことはどうでも
[次のページ]
戻る 編 削 Point(1)