海上へ 2018・7-8/春日線香
 
倒れて中身がこぼれてしまうが、また丁寧に元通りに箱を仕立てていく。そんな時はかぶと虫も死んだようにおとなしくしているのだ。


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時々夢に出てくる部屋があって、さっきもそこに行ってきた。大勢の手品師が町外れのソーラーパネル建設について話す中、自分はうつむきながら卓子を拭いている。あそこには昔からきれいな花畑があって、うちらの仲間もたくさん眠っているんだよ、と古株らしき人物が言うのを、ほかの人々は神妙に聞いている。全員が白い蓮華草を手にしている。


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鬼の瞳を拾う。とても貴重なものなので大急ぎで懐にしまいこみ、
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