透明なナメクジと金の飾りに、骸骨のお姫さま/田中修子
 
死にかけたサメをむしゃむしゃと食べて海に溶けてしまいます。
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 金だと思い込んでいた鎖はみるみるメッキが剥がれて赤く錆び、春先に散る梅の花びらのようになって、深い翡翠色の海の中に散ってゆきました。
 
 「これでやっと成仏できるぞう」
 そんなたくさんの声が、そこらに響きます。
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 同じころ浜には突風が吹いて若者にしがみついていた骸骨たちは、うんとちいさな白い鳥に変化して天空に舞い上がってゆきました。白い鳥たちの羽は若者の頬を引き裂いて赤い筋をつけました。鳥は水色の空に舞いあがり、その白いちいさな点は空のいちばんてっぺんでゆるやかにほどけ、淡い糸になって見えぬ機で織られ、真珠色の
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