からっぽの世界に小石を投げ込む音を椅子に腰を下ろして聞いている夜中/ホロウ・シカエルボク
 
が少し左にねじれた愛想のない野良犬は今日もマーケットの軒先で
「俺にはこれぐらいの恩恵にあずかるだけの理由がある」そんな顔をして乾燥餌を貪っていた
あいつはたまに三日ぐらい完全に姿をくらます癖がある、もしかしたら
そんなふうに生きていくことをなんとかして納得しようとする時間が必要なのかもしれないな
毎日汗を流して暮らしていると時々カラカラに乾いてしまいたくなる時がある、そう
あの犬ッコロが恵んでもらってる餌みたいにカラカラにさ―人生という陶器の器で
いけ好かない音を立てる粒になりたいと思う瞬間が不意に訪れるんだ、だけど
それは夢というにはあまりに遠く、憧れというにはあまりに下らなく、
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