初めて燃える山のように 前編/竜門勇気
らないが、あんたがここまで持ってきたんだ。
こんなゴミはどこにあったって一緒だ。だから、今日は持ってけよ。
背中は何も語らなかった。口もそうだった。僕の耳も何も聞かなかった。
僕はその時ひどく意固地な人間で(今よりは幾分か)正直な人間だったので、言葉が帰ってこないことに苛立ち、また彼となにか話をしてから家に帰りたいと思っていた。
何度もおなじような言葉を投げかけながら歩いていると、ふと彼が歩みを止めた。
しゃん、と自転車の袋が鳴った。
彼は袋を持ち上げ、あたりにばら撒いた。いつの間にか周りは木々に覆い隠された小さな小屋の軒先になっていた。
しゃん、しゃん、しゃん。
落ち葉の下から虫
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