台風と灼熱とゲリラ豪雨/ホロウ・シカエルボク
 
やることなくテントの手前の方で、髪や服に張り付いた雨を払いながら「びっくりしたね」なんて話していた…そのうち、それぞれが少しずつ妙な雰囲気になり、それぞれがそれぞれの首筋だの唇だのを艶めかしく撫で始めた、じゃれてるなんてレベルじゃない、完全に愛撫だった―事態が深刻になる前に俺は咳払いをした、三人の動きが止まり、シャギーの女が目を細めてこちらを凝視した、あまり、目が良くないのかもしれない、おまけにむこうからこちらは、ちょっとした薄闇ぐらいには暗い…「ごめんなさい」ようやく俺の存在を確認したシャギーの女が、慌てた様子で詫びた、他の二人もお互いから離れ、衣服を整えた、いや、と俺は短く答えた、「黙って見て
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