台風と灼熱とゲリラ豪雨/ホロウ・シカエルボク
てているようなアスファルトの上に擦り付けているだけだった、俺はもう自分がどこへ向かっていたのか思い出そうとすることを止めた、それはもう思い出す価値すらないくらいの目的だったということだ、こんな熱と湿度の中で一時間も歩いていれば、誰でもそんなふうになってしまうかもしれない…ふいに空が薄暗くなり、人々は安堵の表情を浮かべる、でもそれも一瞬のことで、次の瞬間には機銃掃射のようなゲリラ豪雨に悲鳴を上げながら逃げ道を探し始める、俺は表通りを避けて人気のない路地に入り、奥行きのあるテントを選んで滑り込む、去年までスナックだった店舗だ、もう半年近く空き物件になったままでいる、テントの終わるところに入口があり、閉
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