中村梨々詩集『青挿し』について/葉leaf
どうしても、戻らなければならなかったんだろう
冷蔵庫の牛乳がなかった
グレープフルーツジュースも
(「二十三夜」)
例えばこの部分を読んでみてください。「昼の隙間」ってなんだろう? 唐突に出てくる「戻らなければならなかった」という義務はなんだろう? 詩にはこのように意味を考え出すと途端にわからなくなることがたくさんあります。
ですが、それよりも大事なのは、「誰も帰ってこない」孤独な感じであったり、「昼の隙間」から外をのぞくときの視線の動きであったり、「戻らなければならなかった」という義務感の持つ引き締まる感じであったり、牛乳やグレープフルーツといったモチーフの持
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