坂井信夫『黄泉へのモノローグ』について/葉leaf
 
さして重要でない。その非連続で飛躍に満ちた認識の枠組みが、人を世界などに対する奇妙な態度へと導くのだ。ここに提示されているのは世界などに対する通常の認識枠組みではない。あくまで通常の筋の運行からどこまでも逸脱しようとする認識が提示されている。そこに要求される認識の更新、認識の再創造、それこそまさに批評であり詩なのである。新たに獲得される認識の角度により、人は世界などに対する批評的態度・詩的態度を身につけることができる。ちょうど解剖台の上でミシンと雨傘が出会うように。
 さて、本詩集で坂井が成し遂げていることはそれだけではない。これだけの定型の繰り返しは、一篇の詩編ごとに一つの世界を作り出す。詩作
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