そんなことを話している間に/ホロウ・シカエルボク
それほど力があるようには見えなかったが、不思議なことに俺の身体は簡単に浮き上がった―俺が驚いて女を見ると、女はふふん、という顔をした、「家はどこなのよ」「あたしもうあがりだから連れて行ってあげるよ」「夏とは言えこんなとこで寝てたら風邪引いちまうよ」と、三択クイズを出すみたいに矢継ぎ早にそう喋ると俺の顔をじっと見た、正解はどれでしょう、とでもいうように…金なら払わねえぞ、と俺はようやくそう言った、「金なんか持ってるかどうかも知らない」ばかね、と女は呆れたように笑った、「自分で立てもしない相手を勃たせることなんか出来ないわよ」ああ、と俺は思わず同意してしまった、それは女にしてみれば降参の意味合いだった
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