そんなことを話している間に/ホロウ・シカエルボク
 
った、さぁ、どっちへ行くのというように腕を引っ張った、そのまま前方へ、と俺はリクエストした、よく喋る女だろうと思って半ばウンザリしていたのだが、歩き始めてからはまるで口をきかなかった、要するに仕事にする気はないのだろう、と俺は解釈した、話し始めたのは俺の方だった、「さっきの…」「ん?」「どうやって持ち上げたんだ?腕を取っただけで」「ああ」と女は笑った、「アイキドーみたいなもの」「ブジュツか」「そうよ」あたしナースだったんだけど、と女は急に馴れ馴れしく話し始めた、黙っていたのは俺に気を使っていたのかもしれない…「ああいうの覚えておくと便利なのよ、あたしは身体が小さいでしょ」なるほどね、と俺は頷いた、
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