そんなことを話している間に/ホロウ・シカエルボク
、ふふふ、と誰かが笑った、それはアスファルトに反射した俺の声だった、つまり立ち上がる時が来たのだ、そんなふうに自分が声を出しているとわかった瞬間は、いつだってその時だ…それはいつもの夜とは違っていた、立ち上がるのにひどい苦労が必要だった、失くした時間のなかになにがあったのか?そんなこと思い出せないのはわかっていた、だから、自分を責める気にもなれなかった、もしも責める理由なんてものがあるとしたら、こんな歳になるまで生き抜いてきたということぐらいだろう―もちろん、そんな気分も時に寄りけりだ、自分という人間が厄介だということを知れば知るほど、妙に愛おしく思えてくる瞬間だってあるときはある―街灯に完全に身
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