そんなことを話している間に/ホロウ・シカエルボク
てがそんなものだったらいいのに、と俺は考えたが、そんなものは赤ん坊でもないかぎり手に入れることは出来ないだろう、すべてのものは手に入れた瞬間から失ってしまう宿命を持っている、それに抗うことはどこのどんなやつにだって出来やしない…お前はそれがいつまでも手のなかにあると思っているんだろう、俺はそんなものをいつまでも信じたりはしない―人生において約束されることなどひとつもない、人生は危うい足場を急ごしらえしながら登っていく崖のようなものだ、それが崩れないなんて誰にも言い切れない、いや―崩れて当たり前の足場の上にいつだって俺たちは立って、もしかしたら命取りになるかもしれない一歩を踏み出そうともがくのだ、ふ
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