みてもいいしみなくてもいいのこと/はるな
 
をとってやる。おしべ、めしべ、べらっとめくれて現れる黄色い花粉。ぴなぴなして美しいデルフィニウム、すぐわるくなってしまう。かたいつぼみが開いて茶色く終わっていくさまのすべてが愛しくて好き。しおれた花をごみ袋にいれて捨てる木曜日の朝、ちょっとせつなくてせいせいする。そうして金曜日にまた花を買う、何度も繰り返す。何度も何度も花を捨てて、だから安心して花を買ってこられるんだなとわかる。

少しずつ体のつかいかたがわかってくる。わたしの右腕がどこまであるのかとか、体がどれくらいの厚みをもってるのかとか。それは言葉を理解することに似てる。形を覚え、意味を知り、そのさきにことばはある。ことばは世界と溶け合
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