街のもの言わぬ羽/ホロウ・シカエルボク
ないところに置きざられたままになっている、鮮やかなイエローのボディカラーがどうしようもないほどに悲劇性を強調させている、昼間に近付いて眺めれば赤黒く固まった血を車体のあちこちに見つけることが出来る、興味があるならやってみればいい、でもその興味はすぐに薄れる、だってそんなものただの痕跡でしかないのだから、当事者にしてみればもっと様々な意味を持ったものであるに違いないけれど、そんなこと俺には関係のない話だ、俺の友達も親戚も親兄弟も、そのタクシーには殺されていない、どこの誰かも判らない人間の死に胸を痛めるなんて御伽噺だ、そうは思わないか?タクシーに気を取られて縁石に軽く躓いてよろける、でも周りを気にした
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