きみはなにに殺されたんだろう/田中修子
ばん不幸だと思い込んでいた私の頬を、きみの死がひっぱたいていった。
アルバイトできていたこと、からだを本格的に壊したときに両親がかけれくれた金、精一杯診てくれている主治医、そのほかのたくさん。
私が生きているいまここにたどり着くまで、どれだけの分岐点があったろう。そもそも産み落とされた場所は選択できなかったろう。
なぜ?
私ときみとの違いはなんだ?
私はたしかに、ふつうの幸福な人生を歩んできたとは言えないし、よく死ななかった、というくらい、いっぱい、ろくでもないことがあった。だれかにきみを投映して、ほんのすこし助けたつもりになって、だれのことももほんとうには助けなかった苦々し
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