失くしたらくがき帳/田中修子
たらいいんだい? 笑いたくなっちゃうじゃんか。
化学反応の青色のきれいさとか、日傘は黒よりは白のフリルのついたほうがやっぱいいし、髪をどれだけまっすぐさらさらにできるか、なんてことをずうっと話してたあの子はきゅうに、「勉強していたらなにも考えなくてすむから」って。
-屋上
うっすらと寒い風、白い雲、青い空
反対側には都庁
たったひとり-
そんなふうな呟きをノートにらくがきしていたあの子の横顔はほんとに、いまだ目をとじて薄暗闇に浮かび上がらせるほど、きれいだったのに。
大学行って、働いて、眠れなくなって、落とし穴に落っこちて、そうしていま、這いあがって、また。
ぼくは
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