終末/本田憲嵩
に立つ 萎んだ、母の背中、そのように、拙く、頼りない 水道水は、かぼそく、揺らめいて、ガスコンロの火、さえも、寂しげに、揺らめいて。 小さな、四角い、窓からは、まだ、葉をつけていない、冬の裸の老木、木は、たとえ倒れても、春 に、なれば、また、葉を、茂らせることが、できるのだと、また 生きてゆくことが、できる のだと。あるいは、西の窓 から滲む、紅のまぶしさと、温かさ、そのように、包みこむ ことが、
もしも もしも、できる のなら、
このような、やさしい、夕暮れ 時に、
もしも できる、のなら、
※
週末、太陽とともに、最後の炎を夕空に燃やしている、夕刻を告げる、モノラル
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