終末/本田憲嵩
ッターを常に降ろしてしまっている。オレは半ばゴーストタウンとなった市(まち)の駅そのものだ。視えもしないものを描きたがった結果がついにこれなのだ。オレはかつての昭和の栄光をとどめたまま朽ちて風化した残骸だ。そしてもはやそれ以下の存在だ。なぜならば本当はそんな栄光すらも何ひとつとして有りなどはしないのだから。ただただ日に日に老いて朽ち果ててゆくばかり。あの幣舞の橋から見える、あかい夕映えは世界でも三番目ぐらいの美しさだ。オレはもはや――)。
※
この夕暮れ時に、ひとときの、安堵とさびしさ、とのあいだで、時のながれを 溯る、瞳の中を 泳ぐ、俎板のうえ かなしい、小魚たち、台所に立
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