のぞみの受難/ペペロ
うにこの道は受難の道だ。
ポケットをさぐる手がふるえている。指がかってに動く。コントロール出来ない。小分けした袋に入っているビスケットが取り出せない。
のぞみはお菓子をあきらめた。
胸と鼻が暗くじんじんと締めつけられて、のぞみはさびしい気持ちになった。
自転車が欲しいなあ。
こんなことしてたら、いつかじぶんもこの道で死んでしまう。
じぶんが死ぬのもお母さんが死ぬのもお父さんが死ぬのもいやだ。あの男のひとで良かった。自転車が欲しい。あぶなくなんかない。こっちのほうがよっぽどあぶない。
駆けててからだにくる振動がみじめだった。悲しかった。泣けてきた。
道が陥没したり、ひとが殺されたり、
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