のぞみの受難/ペペロ
して迂回することにした。現場に背をむけて走った。膝が笑っていた。
その日の帰り、そこは警察やテレビ局ややじうまでがやがやしていた。人混みをくぐって、のぞみは家路を駆けていった。パトカーの赤や白い光線が交錯していた。倒れてたひとは死んだ。
一年まえもこの道が突然陥没してテレビにも映った。あのときは消防車が十台くらい来てた。消防車が一台一台形が違うことをはじめて知った。ニュースで陥没する時間が少しでも早かったり遅かったりしたら大惨事になっていたとか言っていた。なんかおかしいなと思ったひとが通報したらしい。
なんでか今日はそんなことばかり思い出しながら塾までの道を走っていた。いつもは考えないように
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