気の遠くなりかたについて(山茶花オクリ讃2)/渡邉建志
。コンロも、食器すらも、なく「ても」かまわない。どんどん前提が、仮定が崩れて行く!カードを裏返して行くように。そして前提のなかの大前提が、最後3つ覆される。
「僕たちの内の僕がいなくても。ふる雪に濡れて凍えなくても。この冬がなくても。」
怖い怖い、美しい美しい。僕はいなかったかもしれない。そもそも雪はやっぱりなかったのかもしれない。冒頭の冬支度すらも。
これは、怖さを超えて美しい。こんなに、ても、を繰り返すことが美しいだなんて。
僕は一生この最後の3つの「も」の美しさを忘れることはないと思う。
{引用=
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街を歩いていて急に、数年ぶりに、この「も、も、も」が心の
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