気の遠くなりかたについて(山茶花オクリ讃2)/渡邉建志
ここで切るのが辛いのですが(なのでぜひいちど全文通しで読んでほしい)。フレーズの繋がる強さが本当に強い。のっけからすごい。「冬支度が始まろうとしている。ならば」が強い。「。ならば」!この冒頭の短さに対してある程度の分量の背景を要請する「ならば」がすぐに来てならばの後ろに読点もなしに帰結を述べる、速い!速いし強い。強い上に、論理的帰結にすらなってない。ならばと言い自信を持って意味のわからないことが断言される。強い。冬支度が始まるのになぜ高いところへ行こうと言うのか。それは、「雪のないところへ行くのだ」、というためのようである。「雪が競る山頂へ。」と言った舌も乾いていない。{ルビ雪はあるのか。ないのか
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