GIRLS OFF/佐久間 肇
ごの端っこが茶色になって
少女の瞼に覆いかぶさってきた。
その頃、上空では。
いよいよ牙を剥き出しにし始めた始祖鳥が
少女のわずかに残る桃色の部分をめがけて円を描き、
少女に無残に落とされた太陽が
怒りの向くままに植物を育てていた。
まだ花を咲かせることを知らない植物が、
細胞膜だけを進化させて、透明色の体の中へ取り込もうとする。
子孫を知らない欲深い植物は、貪欲で
腐りかけたりんごも、少女も、太陽ですら飲み込めると思っていて
それを見ていたものたちは全て、
身分を明かせない王子様のように閉じこもってしまった。
少女はもう、悪ふざけを許されるときを過ぎてしまった。
[次のページ]
戻る 編 削 Point(3)