二月からのこと/山人
し崩してゆく
釈然とするものが何一つない真夏の炎
それはすべてを燃え上がらせ
骨も髄も溶かし
念じたものをも溶かしてゆく
*
あらゆる裸を晒し続けた真夏だった
饒舌にまくしたてる命の渦
夏はすべてをあらわにし
やがて鎮火した
隔絶された山岳の一角で
口も利かず
私は一人で作業をしていた
何も無いその佇まいの中で
私は何と戦っていたのだろう
でも確かに戦っていたのだった
少なくとも日没は一時間は早まった
夕暮れ近い山道を登り返す時
うすい靄がオレンジ色に差している
ホシガラスが滑空し叫ぶ
断崖を蹴るように降下し
再び上昇した
いくつ
[次のページ]
戻る 編 削 Point(1)