夜を落ち続ける(終わりが明記されないまま)/ホロウ・シカエルボク
はそうさ、産まれてすぐに死にかけた頃からそうだったんだ、いつでも落下のなかにいるような気がしてた、俺を育てたものは、俺を教えたものはそういう感覚だったんだ、俺は落下に育まれたポエットだ、夜明け?夜明けは救いではない、たとえるなら絞首台に上がる日付が少し先延ばしになったみたいなものさ、横になったまま首を振る、枕の感触はたしかに俺の後頭部を受け止めているのに、どうしてこんなにも際限なく落ちていくのだろう、あるいは肉体を残して、霊魂だけが落ちているのだろうか?地下の冷めた空気すら俺には感じられる…落下のたびに俺は年齢を失くす、より年老いた気がするし、より幼くなった気もする、再び産まれることが出来るように
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