三匹が斬る〆 現代詩フォーラムランダム道中千人斬りの巻 其の壱百四拾壱〜其の壱百四拾八/肉球マニア
っている。その男の気遣いに、女は「吐き気を覚えるがそれはもちろん悪阻でない」と思う。このあたり、なかなかデリケート且つ微妙なやりとりで、哀切感がつよい。それはひとえに、妖怪変化と人間を比べようとした男の滑稽さに起因しているのかもしれない。
「うまずめ」は「石女」とかいても、もののけではない。
しかし、みずから「私を人の名で呼ぶな」と激白し、「うぶめ」に一緒に石になろうと誘いさえする。ひきさかれた悲しみの共有。いってみれば自己同一化の宣言である。「私は石である」という言葉に込められた思いは、ことのほかに重い、と言わざるを得ない。
□其の壱百四拾弐
『行けない・・・』 さち ☆☆
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