おだやかな水の流れがすべてを飲み込んでいくように/ホロウ・シカエルボク
いは静か過ぎるのだ、静かで、当たり前すぎて、それはそういうものなのだというようにカンのいい人間を納得させてしまうだけの説得力というものを持っている、それは、存在感、なんて名前で置き換えてみてもいいものだ…確かなものをひとは敬遠する、不確かなものを享受して生きていくことが美徳だと思っているからだ、きみの持っている確かさはそういう人間たちを遠ざける、強固なシールドを築いて、入ってこれなくする、きみは、きみの確かさを言葉にしようとしない、言葉にすることの嘘をきみは知っている、だからいつも便宜的な姿勢というものをもたない、劇薬みたいな陽射しの下で、舗装道にむきだしの膝をついて、ただどこかに心を預けている―
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