春と酒乱/ただのみきや
風の戸棚から匂って来る
木の葉一枚一枚の時間のずれと
牢獄から嘆願する女たちが
脳の一部を炙っている
飛行機は他人
張り伸ばした皮を擦るように
蒼い空ろを響かせた
わたしたちはあるがまま
フキノトウのように やっとのことで息を吐いた
見えない駄犬に舐め回され腐りに腐りながら
反射する石が足元に見つからない者は
みんな夢の中毒者になった
自分以外の何かに変貌する日を待ち続けて
致命傷になるような時計の落下を願っていた
自らの心の針のむしろで
苦行者(サドゥー)のように寝そべりながら
新種の蝶を発見して名前を付ける
「秘められた言葉の羽ばたき」
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