月光。/秋葉竹
を、
枝分かれした真摯な熱い意志の鞘に収め、
孵化できない虫の卵と響き渡る愛の歌のAメロを、
眺め聴きながら経てきた幾星霜の夜に殉じてでも
決して忘れる訳にはいかず、
思い出を作る夜の夢をそっと眺めているのだ。
冴えない、疲れきった顔を
戦場の月光に晒しながら。
ふと
どこに逃げればこんな金や銀の時間から
目をそらすことができるのだろうかと、
小さな声で呟いてみる。
名月は、冬の漆黒の宇宙(そら)に
僕を見つめる暗い目をして驚いている。
轟音とどろく、
学ぶべき愛するふたりの怒声とその決着。
蛇が葦の草むらを抜け、
もと来た川の流れへと還ってゆ
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