難題/ただのみきや
雨上がりに光は音を脱ぐ風に踊りながら
胸に二マイルめり込んだ古い写真機の中で
クスクスを盛り付けるには相応しくない
冷たすぎる大皿を放り投げるまであと一日
蝶々のようにスカートの裾を掴んだ犬が吠えるより早く
少年の口にはレモン形の空洞が詰まっている
重力の薄い落下がある
ピアノの上 二本の指
素足で飛び降りた少女
北を指すのは南を指すことに等しい
ブランコみたいに人は主張と真逆の力に引かれている
蟻の群れが運び出す淡い棺
かな文字よりアルファベットより微細な素粒子のダンス
観察者が像を生む言葉はそれを台なしにする
過干渉な親のように服装も行く末も
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