あの頃と同じように赤い/ホロウ・シカエルボク
 
う二十年以上こうして書き続けている
言葉はからになることがなかった
でもそこからなにかが生まれていくこともそんなにはなかった
友人が何人か出来たことは喜ばしいことだった
そいつらもみんな歳をとった
おそらくはみんな同じように、少年で居過ぎたようななりで
「大人になんかなるもんか」なんて、そんな歌が昔あったけれど
大人になれるやつはそんなことうたったりしないものさ
十代を塞ぎ込んだやつらは
ずっとそんな気分を持ち続けて生きるしかないものだ
おれは今そのことをとてもよく知っている
薄っぺらいヒットソングが夢を語っているのを
カナル型のヘッドホンを耳に突っ込んでよどんだ白目で歩い
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