散髪客/ただのみきや
を圧倒的に示して
後には虚ろな静けさが残る
おれは小さな帆掛け舟なんだ
皮膚が弱くって市販のは合わないんだよね
不沈空母なんか真っ平ってわけ
だからさフロイトよりユングだよユング!
久しぶりなんだから髪切るの
シンクロしたのさ
直接繋がっている訳じゃないのかもしれないけど
一つの剃刀の あんたは柄に触れ
おれは刄に触れている
共有しているものが単なる時代や文化なんて言うなよ
解かっているくせに
この剃刀が超現実ってやつなんだ
夢と現実の境が淡く暈されてついには消失する
おれの自我は今まさに自己に埋没しつつある
超自我なんてアニメの天空都市だよ
善も悪も月や星みたい
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