いつだって気づかないところで孵化は続いている/ホロウ・シカエルボク
 
エジーを期待してはいけないよ、ゴムボールを手に取って、その点在を潰すみたいに二、三度壁にバウンドさせる、エアーの具合は決して良くない、欠食児童よりは少しマシかもしれない、だけどそんな比喩はどんな慰めにもなりはしないだろう…キッチンのほうで張り詰めた物音が聞こえる、排水のパイプが寒さにやられているのだ、氷にもしも鳴声があるとしたらきっとあんなものに違いないぜ、床のペットボトルに少し残った水は数時間前の忘れ物だが、少し口に含んでみたらそのときと同じくらいには冷たかった、部屋の温度は管理されていない、エアコンは時に生きものを睡眠をとるだけの馬鹿にしてしまうから―ラジオからビートルズ、だけどその曲名を思い
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