だから君はささやかに赤く光るセンサーに手をかざせばいい/ホロウ・シカエルボク
 

いつまでも陳列を眺めている暇はありはしないんだ
レジの女が妙なレンズでバーコードを読みながら薄笑いを浮かべる
彼女はきっと幾つかのからくりに気がついているのさ
出口の自動ドアの開き具合を見てみなよ
きっと出迎えてくれた時より素っ気ないに違いないさ


パラセーリングのように浮遊する意識がビルの隙間の限られた自由を漂っている、見下す目に映るものはここで見えるものと大差ない、ほんの少しアングルが違うだけさ、ほんの少しアングルが違うだけなんだ、そこからはやつらのつむじが見える代わりにやつらの表情は見えない、汚れた屋根が見えても血のこびりついたバンパーは見えない、街灯に取り付けられたスピー
[次のページ]
戻る   Point(3)