だから君はささやかに赤く光るセンサーに手をかざせばいい/ホロウ・シカエルボク
ピーカーは見えてもそこから流れてくる音楽は聞こえない、美しい街並みが見えたところで路地裏に転がった死体のことは判らない、さあ、君はどうする、空を飛ぶか、町を歩くか、それとも地下へ潜るかい、そしてどんな武器を手にして、どんな戦果を得るんだい、天使の抜殻のために叫ぶのかい、三本脚の犬のためにうたうのかい、廃業したガソリンスタンドの便器に転がる薄汚れたスプーンのために戦うのかい、ひび割れた街路にはいつだって数え切れぬほどの詩が溢れているのに、君はいつだって気の利いた行間と数行の羅列だけで片付けようとする、俺は睡眠不足の脳味噌を極限まで捩って、君が選択しないもののためにキーボードを叩くのさ、夜になる前に、夜になる前に、出来ることはまだ必ずある、夜になる前に、夜になる前に、新しい文書は必ず出来上がる、電子メールの時代になったって面倒臭いことがなくなるわけじゃない、ならば俺はそこに留まって…
点字ブロックに残された吐瀉物みたいななにかを書き記すのみさ
戻る 編 削 Point(3)