だから君はささやかに赤く光るセンサーに手をかざせばいい/ホロウ・シカエルボク
 
ダヴの低音をウンザリするぐらい響かせるウーファーが
二本南のバイパスで信号待ちをしている
缶コーヒーの苦みは演技過剰な実力派が見せる余韻みたいで
神経質な日にはすぐに水が欲しくなる
スマートフォンを操作しながら自転車を走らせている若い女が
軽四トラックに引っ掛けられてみっともない姿で転ぶ
本当の恥はきっとそれに気づかないところにある


二年前に廃業したガソリンスタンドの敷地内にある便所はどういうわけかまだ生きていて
退屈で仕方がない時にはそこを覗きに行く
一週間に一度は苦笑するようなトラブルの痕跡があって
エディ・マーフィーのジョークぐらいには盛り上げてくれる



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