おだやかな道にとどまろうとしたって/ホロウ・シカエルボク
、話を続けた
「昔はこの辺りもたくさん人が居て…わたし、人と話すのが好きなもんだから、それはもう毎日楽しかったのだけど…でもね、ある時から年々人が減っていって、誰も居なくなってしまって、もう開けていても誰ともお話出来ないみたいな、そんなことになってしまって」
つまらないから閉めたんです、と彼女は虫を殺すみたいに手をひとつ大きく打った
「なにかを売るだけだったら機械にだって出来ますもの」
俺は頷いた、彼女はにこにこと笑った、それからまたつま先に視線を戻した
「街に戻りたいんだけど」と俺は言ってみた、「それなら」と彼女は道の先を指さした
「もう少し歩くとバス停がありますよ、日に何本もないん
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