全く持って、私は嫌になるほど人間である/狩心
 
浮かぶ小島に行く為に
湖の中に身を浸していく
二人とも酸素ボンベとダイバースーツ着用で
二人だけの深海は酷く澄んでいて
生き物たちの吐息を今ここで二人で独占してみる
身も心も酸素ボンベもダイバースーツも未知に溶けて水となり、
やがて小島に流れ着く
小さなハゼになった二人は
優しい泥の中を必死に飛び跳ねていく
進化論は嘘だけど、その嘘をもう一回やり直してみるかい?
もう死んで居なくなったはずの僕らの先祖達の無数の手が
ハゼの僕らを優しく包み込んで
腐って朽ち果てた廃墟のログハウス
そこにある割れた水のない水槽にぽつんと僕らを置く
僕たちはわんわん泣いて
水槽を塩水で満た
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