四郎ちゃん/もり
 
れた
どでかい鼻の穴
黒くて丸い
底なしブラックホールの
ようなものが
鏡の前で存在していた

おれの時代がきた、と一瞬思ったが 考えは甘かった
まず移動が転がるほかないし
飲食ともに 鼻の穴なので
むせた
タバコも吸えない
北島四郎への道は険しかった
親のあれやこれやの小言が
悔しいけれど身にしみる
────

助けて・・ください
気がつくとおれは
ミシュラン三ツ星の
世界一ひとが登る山
高尾山の 真夜中の
登山口にいた
そしてケーブルカー乗り場に
ひっそりとたたずむ
北島サブちゃんの
銅像に 必死で謝っていた

「どうか、お願いいたします
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