うつろな姫/ただのみきや
翼は燃え尽きた
イカロスのように螺旋を描くこともなく
あなたは闇の底を震えながら這い回る
虫へと変貌した
羽化することのない侵食された蛹
青白く発光しながら
息も絶え絶え言葉未満
の なにかが 発酵し
生理的衝動と直結しながら
方角の定まらない感情
の 呟く ような
呻く ような
微小な破裂 音(オン)はただ
あなたの中に堆積した
終わらない砂時計のように
だがやがて時は訪れ
新月のように闇は裂けた
昼の日と夜の灯の細波
闇の胎から海が溢れた日のように
あなたは街へ生まれ出た
蛇のように手足もなかったが
すぐに人の姿をとることができた
あ
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