そしてリビングには少しだけ埃が積りはじめている/ホロウ・シカエルボク
ないのに退屈しのぎに飯を食いに来たみたいだぜ、それで面子は保てたんだよな?さあ、それからどうする?外はもうすっかり暗くなっている、ネオンの下を進行する欲望の軍隊の中では、誰もお前のことなんかに注意を払ったりなんかしない、下らない女が伝線したストッキングを見せびらかしながら、時間幾らでお前を王様だと思わせてくれる店に入って、自分の名前も判らないほど前後不覚に陥って、気づいたときには窓のないホテルのじめついたベッドの上で、魔法が解け始めたシンデレラと大鼾をかいている、ああ、そのベッド、そのベッドには、不特定多数の絶頂がたっぷりと染み込んでいる、時計を見るともう午前様、女を起こしてシャワーを浴びて服を着
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