そしてリビングには少しだけ埃が積りはじめている/ホロウ・シカエルボク
 
詰まり気味の俺にはまったく羨ましい限りだよ、だからいつでもそんなに腹を減らしているんだな、なんでもいいからとにかく極限まで詰め込みたくてうずうずしてるくせに、浅ましいやつだと思われたくなくて、毎晩一流ホテルの展望レストランなんかに出かけていっちゃあ、運ばれてきた気取った盛り付けの料理を片っ端から吸い込んでいくんだ、味も判らないくせになるほどみたいな顔をしながら高い酒を飲んで、いかにも満足げな態度でクレジットカードを差し出すときには、軽いジョークなんか口にしちゃってさ、心配ないんだ、お前は知っているんだ、そういう場所では誰もお前の言うことを邪険になんかしないって、なあ、まるで、たいして腹も減ってない
[次のページ]
戻る   Point(3)