本当に凝固しているもの/ホロウ・シカエルボク
 
れたもののようだった、仰向けに寝ていた俺には無数の木々の枝が闇夜に伸びているのが見えたし、十人ほどが横並びに眠れそうな規模の長方形の穴の壁からは、湿気たにおいと飛び出した木の根が見えた、においといえばこれから運命を共にするのかもしれない無数の人間のぶつ切りからはまるでどんなにおいも感じられなかった、もしかするとそれはよく出来た加工品なのかもしれないと思えなくもなかったが、背中に感じる彼らの感触は明らかにそれが本物の死体であることを告げていた、俺より高いところにある死体がひとつもないことを考えると、俺は彼らの蓋のような役目を担っているらしかった、そんなことのすべては俺にまともなことを考えさせてはくれ
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