無題/◇レキ
喋った事などないけれど
砂漠の空気によく映えていた
そっけない化粧
伏せがちの瞳
きれいな絹
つい触れたくなる絹
触れたくてたまらないあの人に
ちょいと触れたりでもしたら
はたはた飛んで行ってしまうような
そんな、急な風が吹くものだから
もう心は追いつきたくて
紺の服をまとった
あいつがいないや
喋った事など無いけれど
砂漠の空気によく映えていた
金色の腕輪に
切り取るような横顔
紺の七分袖
つい目に映したくなる紺
遠くに見えるあいつに
おーいと声をかけでもしたら
さらさら去ってしまうような
確かに地下に
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