激しければ/こたきひろし
 
の間にか雨がやんでいた。
アパートの近くまで歩いたら急に腹が痛くなってきた。こればかりは我慢が効かない。
部屋まで急いで歩きたいが、駆け足はヤバくなりそうだしかといってゆっくりは間に合いそうにない。
お尻に意識を集中させながら、アパートにたどり着く。
一階の自分の部屋の前まで歩くと中で電話が鳴り出した。
携帯電話がなかった頃だった。鍵を開けて一目散にトイレに駆け寄って危機を脱すると、それでも鳴り続けている電話機の受話器を取ると「あたしです」と彼女の声だった。
「さっきはご免なさい」謝る声に僕は言葉を見つけられなかった。
「いきなりの告白だったから何と答えたらいいかわからなくなって」彼
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