土の魚/ただのみきや
ざっくりと大地から抜き取られ
あたかも一塊の生を得た如く
――あたかも? そう
全ては人の心の投影
定まらない形の在り様に
冷え冷えとしながら
震え悶える術もない
ただ在って
自分を見つめる目も持たず
内に
外に
欹てて
沈黙の中に沈黙を
幾重にも孕みながら
捏ねられる
しなやかに
二つの手が
十本の指が
自分でありながら自分の届かない
そこ へと
深く 強く
差し込まれ
ひしゃげ果て
ぎゅっ と 締め上げられ
捏ねられて
吐き出した
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