土の魚/ただのみきや
 
ざっくりと大地から抜き取られ
あたかも一塊の生を得た如く

――あたかも? そう
    全ては人の心の投影


定まらない形の在り様に
冷え冷えとしながら
震え悶える術もない 
 ただ在って
自分を見つめる目も持たず
  内に 
 外に 
  欹てて
沈黙の中に沈黙を
幾重にも孕みながら


    捏ねられる
 しなやかに
二つの手が
十本の指が
  自分でありながら自分の届かない
 そこ へと
      深く 強く 
差し込まれ
  ひしゃげ果て
    ぎゅっ と 締め上げられ
        捏ねられて
   吐き出した
[次のページ]
戻る   Point(7)