血の騒ぎ/吉岡ペペロ
田の説教を聞いていた日田だった。岩田はディスプレイを指で拭くようなそぶりをみせたが、それが余計だった。
日田が声を荒げた。
四五発顔を張られたあと、岩田の頭に衝撃があった。とっさに両手で頭をおさえた。
鼻血が出たような気がした。岩田は日田に硬いもので殴られつづけながら、これで帰れるかなとホッともしていた。
手のひらが血だらけなのがわかる。岩田の分厚い手の甲に、硬いものが打ち付けられてはそれが滑っているような感触がある。
こいつらは憐れだ。憐れと悲しいはちがう。
じぶんはどっちだろう。
白田がやめろと言うまで日田は暴力をやめないだろう。憐れはいやだ。こいつらも悲しいのかも知れない。こい
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