上手く眠れないのならなにかほかのことを/ホロウ・シカエルボク
 

まるで虫を見つけたときの猫みたいに
身じろぎもせずに静かに眺めている
それは休憩というよりは断線のように見える

街のあちこちで
ほとんどの建物の明かりが落ちて
そのどれでもないわずかな建物が明かりを灯す
それぞれの明かりにそれぞれの目的があって
いろいろな連中が様々な
様々な感情を抱えて立ったり座ったり
誰かと並んでベッドに横になったりしている
ラジオはロマンチックなインストルメンタルや
セクシーなジャズを流して
ぼんやりした照明をほんの少しだけ眩しいと錯覚させる

アルチュール・ランボーの嫌になるくらい有名なあの詩から店名を頂戴した
街外れの小さなバーで二人
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