上手く眠れないのならなにかほかのことを/ホロウ・シカエルボク
ことは推奨されていないのだが
彼女は街を出て行く前にもここで長いこと務めていて
なにをすればいいのかということをすべて理解していたので
すべての人間が納得した上でそうして働いている
実際彼女の働きっぷりは大したもので
夜中じゅう騒いでいる荒くれものたちも彼女の仕事には一目置いている
ただ誰も彼女が本当に笑っている顔は見たことがない
洗車コーナーには大きなアイルトン・セナのフラッグがぶら下がっている
そのスタンドのさらに北にある駅では
最終まであと三本というところで休憩に入った駅員が居た
窓のない小部屋で
まだ若い細身の駅員はジタンを吹かし
天井の隅をじっと眺めている
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